書道は初めてだという人が入会してきました。
新しくお稽古にみえた人には
「あなたは、どんなものを書いてみたいですか」とたずねます。
大体、漢字、仮名、古典、墨象、実用文、とにかく字が綺麗に書きたい、
はたまた、漠然と筆を持ってみたくなった、などという答えがかえってきます。
さて、この新人は、「一」を学びたいとのこと。
何故 「一」なの?
聞いてみると、背筋が、ピーンとのびるような言葉がかえってきました。
ならば、と、「一」の基本線の練習です。
あっという間の3時間!
当然ですが、基本の基の「一」はそう簡単にはいきません。
彼女の会社は教室の近くというので、翌日も練習にやってきました。
どうやら、少し要領がつかめたようです。
彼女は、「一」は、難しいが、書いている時間は充実していて楽しいと、
お礼を言い、戻っていきました。
私も、彼女の「一」のお蔭で、初心にかえり顧みる時間を得ました。
「一」の力は大したものです。
今後、彼女の「一」がどう変化していくのか?
そして、納得のいく「一」が彼女の思う壁面に掲げられる日を
楽しみにしています。