緒方文江さんの個展に伺った。緒方さんは、88才にして、今も現役の精神科医である。
緒方さんは、若々しくチャーミングで明るい。書も達者でスポーツ万能。
テニスはシニアの大会にも出場。ゴルフもされる。私もゴルフをご一緒させて頂いたが、静かに真っ直ぐ飛んで確実で危なげない。
絵は、70才で軽い脳梗塞になりリハビリの為に描きはじめたのがきっかけで、今日、個展をするまでになったと話してくれた。
絵は、まるで少女のように濁りがなく綺麗である。
これまでの人生、幾多の困難を乗り越え今日があるのは明白なのに、この綺麗な作品は、一体なんなのか?と驚いた。
「次は90才で見せて頂きたい」と、申し上げたら、「そうね。今度は書にしようかしら?でも書は体力がいるからねぇ」と笑って仰った。
その言葉は重く深い。書は、文学の解釈ではない。文字を越えて文字を書く仕事だ。私にも戒めの言葉であった。
「あっぱれ」な方である。
いつまでも、このお姿を見せて頂きたいと願いながら
会場を後にした。