文字の変遷 その1 

今日、世界で使われている文字は50余種と言われています。

その源流は、世界古代文明の発祥地ナイル(エジプト文字) メソポタミア(楔形文字) 黄河(漢字)であることを思えば、文字は人類の英知が創造した文明の原動力であるといえます。

エジプトの象形文字は、フェニキア文字~古代ギリシア文字~やがて、アルファベットになります。
書について台西村刻符
書について台西村

書について小屯
黄河流域の漢字は、韓国ではハングルに変遷し、日本に渡った漢字は、偉大な中国文化の影響を受けながらさらに漢字文化を拡げていきます。そしてなお、長い年月をかけ日本独自の流麗な仮名をうみだすことになるのです。

では、私たちが普段使っている文字は、一体どのように変化しながら、今に至っているのでしょう?

その原始的なものと考えられているのは、今からおよそ6000年前の陶器に刻記された符号、すなわち「陶文」または「刻符」とよばれるものです。

これらの陶文は、西安の半坡遺跡、河北省藁城県台西村、河南省安陽県小屯、西省清江呉城、などから多く出土しています。

陶文の形状は、尖った木片、竹、骨片などで引っ掻いたような直線で構成されたものや、力強い単体の象形的な図象などで、一器一刻のデザイン性に富んだものです。

素朴で愛らしく、作為がなくて清々しい。私には好ましい造形で、思わず筆をとってしまいます。筆先に先人たちの息吹が聞こえてきそうな躍動感。古の想像もできない時代に生みだされたこれらの作は、なぜか身近に感じられます。

刻符は、この後3000年の時を経て、実証される最古の文字「甲骨文」へとバトンを渡していくのです。