「ちはやぶる 神代もきかず竜田川 からくれないに水くくるとは」(業平)
「裏を見せ表を見せて散る紅葉」 (良寛)
業平は、かつての恋人との燃えるような恋の想いを、竜田川を一面に染める紅葉に重ね
また、良寛の辞世の句は禅に生きた生涯を散り行くもみじに重ねました。
人は、桜でこころを浮き立たせ、紅葉でこころを鎮めるのか・・・・
晩秋の紅葉を愛でながら、美術館を巡りました。
名古屋で食事したレストランの上の階が山崎マジックミユージアムだったので尋ねました。
ここは、18世紀から20世紀のロココ式の絵画が根幹の美術館だと説明を受けながら宗教画や、
馴染みのピカソ、ミロ、ユトリロ、19世紀末のアールヌーボーや家具も展示されている館内をゆっくり回りました。
その後、ノリタケミュージアムに案内していただき、ボーンチャイナの歴史や磁器の工場見学、
ショップなどを回り、何時もと一寸違った美術館を楽しみました。
広大な敷地の樹木も紅葉し、休日を利用した家族連れも多く訪れていました。
東京に戻り、山種美術館「速水御舟展」へ
「梯子の頂上に登る勇気は貴い。更にそこから降りて来て再び登り返す勇気を持つものは更に貴い」心に響く言葉です。
40年の短い生涯でしたが、御舟はこの言葉のように常に真の進化を求め続けた人だと思います。
模写から技術を編み出す。それが「炎舞」「名樹散椿」など数々の歴史に刻む名作を生み出したのですね。
御舟の軌跡が堪能できる展覧会でした。
根津美術館 「円山応挙展へ」
江戸後期、若冲と人気を分けた応挙。今回の「雪松図屛風」はひときわいいと聞いていたので楽しみに出かけました。
なるほど、いつもと違うオーラです。雪に煙る幻想的な松の存在は圧巻!
実際にみてみないと表現力乏しい私には説明が難しいですが、飾る空間と照明が絶妙という評判も聞きます。
設置に携わってくださった方々に感謝ですね。
この展覧会は「藤花図屏風」の幹の複雑に絡み合う立体感など、とにかく時間をかけてみなくてはいけません。
応挙の写生を大切にしながら写生を超えた写生画に深い感銘を受けました。
五島美術館 「特別展 平安古筆の名品 飯島春敬の観た珠玉の作品から」
飯島春敬先生が生涯をかけて集められた古筆の展示です。
書を学んでいる人なら日頃本で見たり、お教室で教わっている本物がすぐ目の前で見れます。
貫之、行成 道風 紫式部、1000年を越えてなおみずみずしい筆跡に感激しながらゆっくり時間をかけて鑑賞しました。
御舟、応挙、平安の古筆。「改めて基とは」その大切さを痛感しました。