日本一と言われる天然芝のテニスコートが、佐賀県金立にある。精神科医の緒方勝徳氏が40年前に創建したグラスコートで、本場、ウィンブルトンを彷彿させるような見事なものとして、国内外のテニス通の憧れのコートである。
今秋も40周年のイベントをはじめ、色々な大会が続くが、その中のひとつ、「グラスコート ベテラン選手権」という大会があり、その記念品の制作を賜った。
有田焼きに書くのである。
そのため、久しぶりにグラスコートを訪ねた。この日は、試合もなく芝は養生中である。
一面の緑の上に建つクラブハウスに入ると、400年の歴史ある窯元「岩尾対山釜」から運ばれた素焼きの皿1000枚がずらり並べられセットされている。
いつもは、窯元で書くのだが、この日は特別にコートを見下ろしながら書くのである。
枚数からいえば千字文ならぬ千字書きであるが、手際よいお手伝いのお陰で僅かな時間で書き終えた。
私も、今月末、ふとしたことから「葉隠の里」佐賀で個展をすることになったが、表参道書道教室のテニス愛好家の面々も、この名門のグラスコートでプレーできるのを楽しみに佐賀を訪れる。
広々とした緑の中での器の仕事は、恐らく最初で最後であろうが、天気清朗、気分爽快、お陰で筆も良く走った。