明治の元勲のひとりで、漢詩人、書家として近代書道史に大きな足跡を残した
副島蒼海。
その書は生まれ故郷の佐賀や、ゆかりの深かった山形、愛知、
その他の地方にも所蔵されています。
先日、そんな書の一枚がある方から届きました。
「忠毅」と書かれた書は、乙酉11月とあるので、
明治18年、蒼海58歳の時に書かれたものです。
早速、表装をお願いしました。
年月を経て随分傷んでいたのですが蘇りました。
間近でみると背筋が伸びるような緊張感ある書です。
私は蒼海の書で、同じ年に書かれた「日繞龍鱗識聖顔」という「爨宝子碑」
(405年、東晋代の墓碑)風の楷書に、行書、隷書体の入り混じったような
重厚で温かみある字に面白さを感じているひとりですが、
この書は質朴剛健で、「如何にも蒼海!」という書です。
蒼海の書の虜になっていく人は、その深い線質に魅了され、
ときとしてハッキリと伝わってくる息吹に心を動かされていくのでは!?
そんなことを思いながら蒼海の書を眺めています。