移ろい 朱から白へ

人は、自然の中に美しい色をもとめる。
夏は朱、秋は白、と言うが立秋を過ぎるとふとした折に白を感じるから不思議だ。
渡る風も白く、窓から見下ろす道も白々と続いている。
早朝グラスに注いだ水も細く白く光っている。
ベランダのディラタライムやパンドレアも、擦りおろす墨さえも白く香ってくるようだ。
移り行く自然の色は美しい。

年々、肉体の衰えと反比例して微妙な色が見えてくる。
歳を重ねることへの神様からの贈り物か?なんにしろ喜ばしい。

先日、北九市立美術館で開催の藤田嗣二、竹下夢二の展覧会を観に行った。
友人がフジタの熱心なファンで思いがけなく同行したが、私も彼の白には魅かれているひとり。
しかし、見る時によってその白は違う。こちらの気の持ちようかとも思うがそればかりではなさそうだ。
白い秋に見たフジタの乳白色は、自然が生み出したように
間遠でいつにもまして優しくこころに沁み入った。

白い秋。楽静の頃。面白いいろが紙に写せれば・・・と
思いながら今日も墨を擦っている。

130908_1

130908_2

130908_3

130908_4